臨床例11-脂肪織炎という免疫介在性疾患の漢方薬治療

脂肪織炎(無菌性肉芽腫)という、免疫介在性と考えられていますが、詳しいところは分かっていない、無菌性で、皮下の炎症をくりかえす病気があります。皮下にしこりや塊ができ、そこから膿みがでたり漿液がでたりして、ふつうの傷なら、抗生物質で治るものが、全く治らず、時には、体の他のところに多発してでき、また皮膚に穴があいて、炎症を繰り返すものです。

よくあるのは、外科手術の後で、縫った所から穴があいて(縫合糸と反応して)炎症が起こる場合で、獣医さんからしたら困ったもので、手術後の不手際とか、手術時の細菌感染と間違えられることが多いです。抗生物質や抗真菌剤もきかないので、ステロイドや免疫抑制剤を長期投与して、炎症をおさえるという治療法をとられることが多いです。もしくは、外科的にその辺りの皮膚と皮下組織を取除く場合もあると思います。

しかし、ステロイドや免疫抑制剤の長期投与は、身体が本来もっている免疫力をそこないますし、外科的手術も、再発の危険性もありますし、さらに傷口が多発性の場合は困難です。そこでその代替となる治療法が漢方薬による治療法です。

漢方薬の抗炎症効果には、細菌性の炎症に効くのみならず、抗生物質が効かないような炎症をおさえる効果も持っています。ただし、難点としては、こういう炎症を抑える効果がでてくるには、少し時間がかかるので、少なくとも1ヶ月以上は、治療をつづけてもらう必要があります。しかし、きちんと炎症をなくしてしまえば、漢方薬をやめても再発することなく治療を完了することができます。

さらに、この病気は、手術を繰り返した後とか、ステロイドを長期投与した後とかの免疫力の低下した状態にある場合、もしくは遺伝的に免疫力に問題がある場合に、起こることが多く、免疫力を漢方薬で補うことが大切になるという点も加えておきます。

シェパードのこはるちゃんは、4歳。若い時から、不整発情があって避妊手術をしたり、膀胱炎を繰り返したり膀胱結石で手術したり、皮膚病を慢性的に治療したりしてきたそうです。足の靭帯を断裂して、手術した後に、手術の場所とは違うのですが肉球の上の所に脂肪織炎を発症しました。

ステロイドで初め治療したらしいのですが、ステロイドの量が多くなり、(量を多くしないと炎症が治まらない)心配になって、ハルペッツクリニックに漢方薬治療を求められました。半年ほどの漢方薬治療で、ほぼ穴もふさがり、炎症は完治しました。

こはるちゃんは、抗生物質や食べ物のアレルギーもあるように、もともと免疫力の弱いところもあると思います。また、慢性疾患の治療や繰り返す手術で、さらに免疫力が弱ったため、脂肪織炎になった可能性もあるので、免疫力を上げる治療が大事になると考えます。

さらに、免疫力をつけるために、漢方薬は、脂肪織炎が治って半年、少量ですが継続してもらい、それからきりました。逆に漢方薬で根本的に免疫力をつけることで、皮膚病や膀胱炎などの他の慢性疾患にならないようになると考えています。

初めの状態

治療後の状態


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