臨床例4-アトピー性皮膚炎を精神疾患として治療

犬のアトピー性皮膚炎といった難治性の皮膚病の原因が、精神的な要因にある場合があります。心の問題なので、よく分かっていないことも多いですが、臨床現場でみていて、ほとんどが、飼い主さんとペットとの関係に原因があることが多いです。

この要因の皮膚病の治療にも、やはりステロイドはとても効果があります。しかし、ステロイドを止めると皮膚病が再発していまいますので、慢性的にステロイドを使うことになります。さらにその副作用が心配で、血液検査をくりかえす必要があり、動物病院から離れられなくなってしまいます。つまりステロイド治療は根本治療にはなりません。本当に治療すべき所は、動物と飼い主さんとの関係であったり、漢方薬を使って自律神経をおちつかせることであったりするのです。

ただし、精神的な要因のみが皮膚病の原因であるという状態で、ペットが、病院に来院されることは少なく、それに加えて皮膚に慢性的に炎症をおこしている、もしくは、ステロイドの長期投与で、免疫力が低下し、皮膚病がでやすくなっている、などといった複合的な要因の皮膚病の状態で、来院される場合がほとんどです。

したがって、ハルペッツクリニックでは、初めは、漢方薬で、炎症をおさえ、ステロイドを減らして、免疫力をつける、という体質改善をめざした治療を施します。それでも治療がすすまない皮膚病に対し、精神的な要因を疑い、治療するという方針です。(まれに食べ物アレルギーのこともありますが、これは食べ物を変えればすぐ反応がでるので容易にわかりますし、治療も容易です。)

フレンチブルのコレッタちゃんは2歳。生後7ヶ月目から全身をかく症状がではじめました。アトピー性皮膚炎ということで、お近くの動物病院で、初めステロイド、それから1年間は、アトピカという免疫抑制剤を飲んでなんとかおさえてきましたが、すぐ再発するので、漢方薬治療をしに来院されました。

外耳炎、お腹の膿皮症、脂漏症、フケと脱毛、という全身的にアトピー性皮膚炎の症状がでていました。漢方薬治療にとりかかって1ヶ月半、全体的に皮膚の具合はよくなっているのですが、外耳炎などをまだ再発することが多いので、精神的な要因が働いている可能性を調べました。すると、コレッタちゃんが、精神的に飼い主さんにかなり依存しており、その依存心が、身体全体の皮膚病の一つの要因であることがわかりました。

自律神経をおさえる漢方薬を投与して様子をみましたが、病院にいる間は、皮膚病は治るのですが、家にかえると2週間でまた皮膚病が再発するということを繰り返してしまいました。一つは、犬を飼う環境がマンションで、コレッタちゃんにほえられると、飼い主さんが、近所迷惑にならないように、すぐ相手をしてしまう、つまりコレッタちゃんに飼い主さんがふりまわされる状態に改善がみられなかったという要因があります。

半年たって、一度は、コレッタちゃんを手放す計画もたてられたのですが、なんとかがんばって、飼いたいという気持ちが、よりよい関係づくりをする飼い主さんの覚悟を引き出し、なんとか、いい関係を気づくことができるようになりました。そうすれば、皮膚病もおさまるようになりました。ただ、まだまだすぐに不安定になるコレッタちゃんの気持ちは、身体をかいて、飼い主さんの気持ちをひきつけるということから、今度は大便をいたる所にぬりつけて、飼い主さんを困らせる、という行動に変化していますので、油断せず、精神状態を安定化するように漢方薬治療をつづけていく必要があるようです。

まだ皮膚病のコレッタちゃん。

落ち着いた(?)コレッタちゃん。

ただし、飼い主さんと動物との関係を変えるのは、とても難しいことも多く、それがあまりに飼い主さんの心に負担になる場合は、最小量のステロイドと、そのステロイドで損なう免疫力を補う漢方薬を併用して使っていく場合もあります。


臨床例リストに戻る>>>
漢方治療専門どうぶつ病院
ハルペッツクリニック東京
〒106-0031
東京都港区西麻布3丁目6−3
Tel: 03-6804-3343
Fax: 03-6804-3345
Email: info@harupets-tokyo.com

[総合どうぶつ病院/愛知・春日井]
ハルペッツクリニック
愛知県春日井市柏井町 5-92
http://www.harupets.com